県庁、奈良地裁、文化会館などの官公庁の集まる登大路と奈良公園の交わる観光名所興福寺、東大寺の界隈は今年秋、阿修羅の一般公開、正倉院展なども重なり、大賑わいだった。　　　晩秋を迎え、鹿たちもほっとしたように佇んでいる。　　　　　　その県庁東の交差点で渋滞にあい、ふと人けの少ない奈良公園に目をやると、桜葉がなんとも鮮やかに紅葉し、秋の陽射しが木漏れ日となって芝生にふりそそいでいた。

　　詩人の谷川俊太郎さんが詩心に目覚めたのは木々に差し込む日の光を見た幼いころだったと、確か昨日の新聞に書かれていた。　　　　美しいという表現では形容できないなんともいえない感慨だったと。


　　　それに似た想いをしながら桜葉をみていた。　　　桜ははっきりと「何色」とはいえない色で紅葉し落葉し朽ち果てていくのが何ともいい・・・・・・黄色に輝くいちょうやポプラもいいけれど・・・・なんとも入り混じった紅葉具合が人間ぽくてきれいだと想う。　　　　人間ぽい・・・・・という言葉・・・・・未完成だとか失敗だとか、不完全とつながるようなこと。　　　　嘘でかためようとしても「ぽろり」と何かがこぼれて・・・・それがつまり「人間ぽい」ということだ。　　　　そんな景色にできれば会いたい。　　　　人がやっぱり人だったと・・・・思いたい。

　　　わたる世間は鬼、敵、が多くなったけれど、そんな鬼や敵にも・・・・・やはり「人」だったとおもうことがあれば・・・・・という私はやはり甘いですか・・・・・そんな思いをこめて桜葉の奈良を行きました。

　　もうすぐ・・・・落葉が始まります。　　　　　冬支度の奈良はこんもりと三笠山、原始林の春日山、そして瞬く間に若草山の山焼きが・・・・・年をこしてすぐ。　　　　　県庁、裁判所・・・・・このあたりはビジネスと観光の混じった人が行き交う場所。　　　奈良日和の今日でした。